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公共施設マネジメントコラム⑦「ネガティブ評価からポジティブ評価へ」

2016.07.29

ジャパンシステム株式会社 コンサルティングアドバイザー 池澤 龍三

「公共施設マネジメントって、何か暗くないですか?!」

今回のコラムは、いつも筆者が思っている疑問から、少し話しを発展させてみたいと思います。

先日、ある自治体のトップとお話する機会があり、公共施設マネジメントの重要性について議論をしている時に 、ふとこんな言葉が出た。

さらに、「公共施設マネジメントの必要性について、市の職員がいろいろな情報を駆使して住民の皆様に説明をしても、どうも住民の皆さんには通じない、というかピンと来てくれないんです。本当は住民の皆さんも分かっているはずなのに、どうしてなんでしょうか。」と。

こうした話はよく聞く話なのだが、改めてお聞きした瞬間に思ったのは、今更ではあるが、市民感覚としては甚だ当然なのかもしれないということである。

地元住民に限らず人間は皆「自分にとって良い話、メリットのある話」には興味を示すが、逆に「自分にとって悪い話、デメリットの多そうな話」には興味を示さないどころか、どんなに重要な事柄であっても極力目の前の事柄としては捉えず、むしろ避けることによって身の安定を保とうとする生き物ということである。私自身もそうであるように。

公共施設マネジメントの視点から言えば、これまで多くの自治体における施設評価は、施設の耐震性が有るのか無いのか、老朽度がどれくらい進んでいるのかいないのか、利用者人数は何人か、利用率が高いのか低いのか(これに関しては、そもそも何%以上が利用率が高く、何%未満が低いと設定されているのかさえ疑問ではあるが)等々のデータを集めて、それを分析し、施設白書等として住民に公表している現実がある。また、それを地元説明会やワークショップで説明しているのである。

考えてみれば、これらの施設評価の項目は、その殆どが減点評価の項目であり、施設を提供している側からすればリスク評価の項目と言える。

地元住民にとって、この減点評価(リスク評価)をわざわざ集会所に集められて自治体職員から説明されても、聞かされる者にとっては、先に挙げた「自分にとって悪い話、デメリットの多そうな話」としてしか受け取れず、結果、興味を持てないのである。むしろ会全体の雰囲気としては反発を招く恐れもある。

では、どうすれば良いのか?そのためには、「自分にとって良い話、メリットのある話」を先にしていく必要があるのである。

しかし、こう書くと、これまでのように陳情行政の二の舞になってしまい、ハコモノ行政の時代に戻ってしまうと心配される方も多いと思われる。ただ、今の住民の皆さんの方がもっと現実的で賢い選択を望んでいるということを忘れてはならない。確かに、現代社会においても、なぜか「ホール」という言葉の響きが大好きで、その姿形は違えど、大規模ホールの建設を望む方もいらっしゃるかもしれないが、冷静に考えればそうした声は大勢ではないことも事実である。

では、具体的に「自分にとって良い話、、メリットのある話」をするための施設評価とはどのようなものだろうか。

筆者はかつて自治体職員であった頃、耐震性の低い公民館の更新問題に当たり、単体での建て替えではなく、駅周辺に散在する市が提供する「サービス(機能)」の集約化を図り、複合施設としての建て替えを計画し実行に移した経験がある。

また、小学校のプール施設の更新問題に当たり、プールを建て替えるのではなく、解体し、水泳授業という「サービス(機能)」を民間のスイミングスクールにアウトソースしたこともある。

これらは、単純に建て替えを行うのではなく、あるいは、施設(ハコモノ)を解体し、総量縮減を図ろうとするものではなく、その中身=機能に新たな付加価値が付くように計画されたものである。

例えば、複合化された公民館では、高齢者だけが顔を合わせる施設ではなく、出張所を訪れた住民も、児童センターを訪れた子どもたちも、より多くの世代が自然に顔を合わせる機会を増やし、そしてその結節点にはお茶ができる空間が用意されている、と言った多世代交流の場の提供を新たに創造したのである。

民間のスイミングスクールでは、天候や季節に左右されることのない屋内型のプール施設環境のもと、、より泳力を育てるためのインストラクターによる段階的学習が行われ、保護者はそれを見学することもできるという、学校水泳授業にこれまでになかった付加価値を付けたのである。

もちろん、これらの事例は 、最初はとんでもない計画だと庁内でも議論を呼んだが、保護者への説明会やパブリックコメント等を実施する中で、理解を得て進められたものである。

これまで、正直、お役所の中では、複合化されることによる、あるいは官民が連携することによるポジティブ性を評価する仕組みはあまり見られなかった。ただ、住民はいまこそ、ネガティブな評価の前に、ポジティブな評価を聞きたいのではないだろうか。そして、我々はそこに限られた時間とエネルギーを投入すべきではないだろうか。それこそが公共施設マネジメントに取り組む醍醐味なんだと私は思う。

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